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  • 執筆者の写真うるおいの森

自分史とかさねて。




花の仕事の次に開いた扉。

いま、絵を描くこと、苗木に関わる仕事に行き着いて、しょっちゅうぶつかる母が私にかけた言葉は、「やっとここまでこれたね…」でした。


長く生きていれば人生色々あり、私もその中のひとりでした。


あることがあり、もうやぶれかぶれの二、三歩手前で、せっかくの人生だから好きな仕事しよう!と小さく誓ったのはいつだったか。


体調悪くし、去らなければならないときもあったけど、そばで母は見ていてくれていたのだ。



父は土地を縦にみる不動産屋だったが職人さんとの付き合いを大事にし、よく私を現場に連れて行ってくれた。

かつての義理の父は、自分の山から檜や杉を伐りこの家を建ててくれた。日本の山や森が荒れ、職人の価値を軽んじる時代になり最後まで嘆いていた。

私は二人の父から日本の豊かな緑の資源を活かすことを静かに学んだと思う。



そして天竜の榊原さん。山に恩返ししてくれよな、と多くの人に楔を打ち天国へ。

いま柑橘の緩衝材で使わせていただいてるカンナ屑はこの天竜の天然乾燥の杉。


愛媛の柑橘農家さんは、土の中のことを私にどんなふうに伝えたらよいか、目には見えない空から降り注ぐエネルギーの話をどんな言葉をつないだら理解してもらえるのか、もどかしかったと思う。



今だからわかる。


だからこそ、この書籍を手にしたとき、色々なことが思い出されて込み上げてしまった。




私は高田さんのように豊かな言葉の引き出しがない。


それだけに実際に現場で重ね捉えてきた事象が鮮やかに表現されていてわくわくする。もやもやしていたことがオセロがひっくり返るようにすっきりする。子どものころの瞬発力のある感性を思い出す。

これからも柑橘の仕事では激しく母とぶつかることもあるだろう。母も真剣なのだ。


父は間に挟まれてかわいそうだけど、いつか二人を森に連れて行ってあげたい。

二人が可愛がっていた飼い猫ななちゃんの風葬した場所を見れば安心するだろう。




普段本を読まない母が真剣に読んでいる。 お母さんも私も土から生まれたんだね。




191206_気になるポット苗
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